No.2 タクシーの話

【起】
午前２時に退社。地下鉄がなく、現金をあまり保持していないため、
クレジットカードで支払ができるタクシーを１台、携帯電話で呼ぶ。

１０分経って着電。車が着いたとのこと。周りを見渡したけれども、
車の姿はあらず。その旨を伝え、「どこにいますか？」と聞いたら、
私が待っている○○△△ビルの隣の○○××ビルの前ですとのこと。

【承】
２キロくらい走ったころ、ちょうど赤信号で停車したタイミングで
運転手がラジオの音量を上げ、おもむろにシートベルトを着けだす。

【転】
突然「この時間になって風が止んできました」と話を振られたので、
ビックリしつつ、「今日はずっと室内にいたので知らないのですが
日中はそんなに風が強かったのですか？」と聞き返してみたところ
「日中はすごかったですよ。日付が変わった頃から弱まりましたよ。」
というので、「どれだけ凄かったですか？」と聞くも何故かスルー。

５分ほど回答をひたすら待つ沈黙の中、ふとラジオから交通情報が。
「今日は全国的に風が強く、各地で交通規制が発生しています」と。
これに絡めてくるのかな？と期待してみるも、これも華麗にスルー。

よく見ると運転手が口に白いマスクをしているので、ああなるほど。
風邪と風をかけて話を展開していくんだな。と少し待機してみても、
車内にはラジオから流れる「エーデルワイス」の調べが響くのみの
妙な緊張感の中、互いに特に言葉を発しないまま目的地周辺に到着。

【結】
カード決済の端末を操作して「やった！一発で行った！」と呟いた
（おそらく「カードリーダーが１回目の操作で情報を読んだ」の意）
運転手を残してハヤテの如く下車。タクシーは未だに慣れないなぁ。

【闇】
「さよなら絶望先生」で、起承転結の次に闇があるとありましたが、
サンデーっ子なので「結」の次は「滅」だなと書いててふと思った。

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